第3章 青い春の謳【三成】
この人はいつも、こうしていとも簡単に心の壁を取り払ってくれる。
タイムスリップしてきた右も左もわからない環境で、最初から、わたしの心の拠り所になってくれた。
「わたしこそ…気持ち…伝えようとしなくて…ごめん…ッ。」
どんな時も、優しさでわたしを包み込んでくれる。
つまらない心配をして、怖がって、気持ちを伝えられなかったのはわたしも同じ。
貴方も同じように、わたしを大切に思って言えなかったことがあったんだね。
「…っ…。三成く…ん…。大好き…。」
美蘭は、三成に自分から抱きついた。
「わたしもです。狂おしいほどに…。」
三成は、自分に抱きつく美蘭を、ギュッと抱き締めた。
「やり直してもいいですか?最初から…。今度こそ貴女の…美蘭様の全てを、わたしにくれませんか?」
親指で唇をなぞりながら、
三成は熱っぽい瞳で美蘭を見つめた。
「貴女が…欲しいんです。」
まっすぐな、真摯な三成の瞳。
熱い想いと、美蘭を気遣う優しさに溢れる瞳。
(一瞬でも遠ざけようとした…わたしは馬鹿だ…。)
あらためて三成の、自分への想いの深さに触れた美蘭の瞳からは、ポロポロと涙が溢れ出た。
「わたしも欲しいよ…三成くんの…全部…っ。」
止まらない涙を溢れさせたまま、
美蘭は、満面の笑みでそう言った。
「…っ!…美蘭様…っ。」
「…っ?!」
美蘭の笑顔が眩しくて、
可愛いくて、
愛しくて
三成は思わず、美蘭を抱きしめた。
そして、優しく横抱きにすると
褥まで連れて行き、
優しく降ろした。
「教えてください。貴女が望むこと…全て…。」
生まれたままの姿になった2人は、抱き合って、引き寄せられるように、静かにチュ…と口付け合った。
「…これだけで溶けてしまいそうです。」
「もっと…溶かして…?」
そう言って美蘭が自分から口付けると、
それは徐々に、
深い、
深い口付けになっていった。