第3章 青い春の謳【三成】
「…んで?何で憂鬱な顔してたんだ?三成に相手にしてもらえねェのか?」
わらび餅を食べ終わっても帰る様子のない政宗は、お茶を飲みながら言った。
「…!そんなこと…。さっきまで一緒だったし…」
「じゃあ、抱いてくれねェとか?あいつ鈍臭そうだからな。」
「…違…っ。」
「ヘェ…以外とヤることはやってんのか。」
「…っ…ちょ…ッ…」
政宗の矢継ぎ早の問いに上手く答えられず、美蘭は慌てた。
このままでは
政宗のペースで、変なことを話してしまいそうだ…と思った美蘭は、
「ご馳走さまでした!わたし今から針子の仕事に行くの!おやつの時間はおしまい!」
強引に政宗を部屋から追い出そうとした。
「わ〜かったよ!」
そう言って、食器や茶器をお盆に乗せると政宗は立ち上がった。
「三成が物足りなきゃ…いつでも俺んとこに来いよ?」
ニヤ!と妖艶な笑みを浮かべながらそう言うと、政宗は、またな、と、嵐のように去って行った。
「はあ…。」
政宗の言う通りかも知れない。
自分は、確かに物足りないのかも知れない。
大好きで大好きで愛しくて仕方ない人と想いが通じ合えて、
その大好きな人にお姫様のように大切に大切に扱って貰っているのに。
身も心も繋がったのに。
(こんな悩みができるなんて…。)
口づけも愛撫も、自分が欲しいところに届かない。
自分の熱と、三成の熱に温度差があるのに、求められるのが嬉しくて、身体を開いてしまう。
なんとなく、声を出して雰囲気に合わせてしまう。
そして
終わった後に残る
膣の痛みと、モヤモヤした気持ち。
でも、経験不足を自ら詫びてくる三成に、大切に大切に抱きしめてくれる三成に、こんなこと言えない…と思う美蘭。
三成を傷つけるのも怖いし、
もし嫌われでもしたら…それが1番恐れていることだった。
(三成くんが大好きなのに…。)
一緒にいるだけで幸せなのに、
身体を繋げたが故に、
更に近づけるどころか、
2人になることが少し憂鬱になってしまった。
美蘭は、また、溜め息をついた。