第2章 連なる愛の謳【家康・政宗】
「…はあ。」
溜め息をついた家康が、渋い顔で言った。
「政宗さん。…美蘭の手、押さえてて。」
「「??!」」
政宗と美蘭は、
驚いて目を合わせた。
「大人しく診せないから。死なせたくないでしょ。」
「…!…当たり前だ。」
「いや…っ。政宗…っ…!」
政宗は、
向き合うように美蘭の両手首を掴んだ。
家康の言っていることは理路整然として正しいのだが
好きな女の手首を拘束して、
足の付け根の怪我を診るからには
着物をめくり足を露出させねばならない。
「……っ。」
政宗は、ゴクリと固唾を飲んだ。
「めくるよ。」
前から両手を塞いだ美蘭の後ろに回った家康が、着物の裾に手をかけた。
「…!」
その瞬間、
このまま着物をめくり上げたら…向かい合っている政宗に、美蘭の素足を真正面から見せることになってしまうと気付いた。
そんな政宗が喜ぶことは、したくない。
「政宗さん。うつ伏せさせて。その方が診やすい。」
「…っ。ああ、…わかった。」
家康のそんな思惑には全く気付かない政宗は腰を降ろすと、
美蘭は手を引張られるように膝をつき、
そのまま倒れこみ、褥の上でうつ伏せになった。
「…離してっ…。」
真っ赤な顔で、両手を拘束する政宗を恨めしそうに見上げる美蘭。
「悪いがお前のためだ。少し我慢しろよ?」
鼓動を速めた政宗が、そう言い聞かせるように言うと、
「今度こそまくるよ。」
そう言うと
家康は着物の裾を、襦袢ごと一気に捲りあげる。
「きゃ…いや…っ。」
目の前に現れた白い素足。
恥ずかしいと動く姿が、かえって煽情的に蠢いているように見えてしまう。
さらに
捲りあげられた着物の乱れは、その光景を更に卑猥に映した。
さすがの家康も、
医者としての冷静さを一瞬見失い、ゴクリと喉を鳴らした。
「じっとしてないと政宗さんが発情するよ。やらし過ぎ。」
「いや…っ!!!」
「…っ家康!テメ…!」
「ほんとのことでしょ。」