第2章 連なる愛の謳【家康・政宗】
安土に向かう馬は、来るときの早駆けとは違い、穏やかに駆けていた。
「……政宗?どうかしたの?」
政宗の前に座らされている美蘭は、振り返るようにして政宗に問いかけた。
その問いに
「…ああ。どうかしちまってる。」
政宗は、絞り出すような声で答えた。
美蘭に抱く、これまでどの女にも抱いたことのない感情が、政宗の中に押し寄せていた。
可愛くて
愛しくて
手に入れたくて
閉じ込めたくて
誰にも触らせたくない
これまで、女が抱きたいときに、見あう女がいれば抱いてきたが、その後執着した女は1人もいなかった。
美蘭は、欲望を満たすだけの女達とは、別格の存在。
「…政宗?」
黙り込む政宗を心配して、尚も振り向いて声をかける美蘭。
その可愛い声に
あたたかい体温に
女らしい身体の曲線に
甘い香りに
政宗の箍が、プツリと途切れた。
見渡す限りの平野の真ん中で、馬は突然止まった。
「……美蘭、俺のモノになれ!」
「…??!」
政宗は、後ろから、美蘭をギュッと抱きしめた。
突然の馬の上での抱擁に驚いた美蘭が、身体ごと振り返ると
「…政…宗?なんか…んうっ!!?」
唇を奪われた。
「…チュ…んん…っ…チュク…」
それはいつもの掠めとるような口付けではない。
深い深い口付け。
唇の隙間から舌が差し込まれ、舌が絡められると、美蘭はゾクリとした。
「ん…っふ…チュ…チュ…」
顔の角度を変え、舌が這い回る…深い深い口付けをしながら、
政宗の手のひらは、美蘭の身体の線に沿って這い回る。
尻を撫でられ
胸に手をかけられると
(…いつもの政宗じゃない!!)
美蘭は、激しく抵抗した。
「ど…したの政宗…こんな…」
身体を離そうとする美蘭を、政宗は離さんとする。
「お前の…身も心も全部欲しい。」
「…!嘘…」
「嘘じゃネェ!」
また強引に口付けしようとする政宗から逃げようと、身体を捩った瞬間…
「……きゃあ…っ!」
「…美蘭!」
体勢を崩した美蘭は、落馬した。