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【イケメン戦国】恋花謳〜コイハナウタ〜

第22章 第21章 恋知りの謌【謙信】湯治編 〜車輪〜 ③


「許せぬな。」

「ええっ??!」

「許しを請うなら、おまえから口付けろ。」



また

この瞳だ。



「……っ…はい…。」

威圧的な空気の奥に潜む、

激しく揺れる不安。



「チュ…っ…」

大丈夫だと

思いを込めて、美蘭から口付けた。



(貴方だけ…ですから…。)

もう一度口付けたら



「…んっ…っふ…」

謙信に後頭部を押さえられ、

口を割り開かれ、舌を絡め取られた。



全てを奪われるような、

甘い

深い

口付け。



(…蕩け…そ…う…っ…。)



繰り返される

呪縛のような口付け。


「んん…っ…チュ…は…あ…っ。」


(謙信様…何度でも)

美蘭は、

(わたしを縛って下さい。)

謙信が満足するまで

息が上がるほどの口付けを甘んじて受け入れた。




チュ…と音を立てて謙信が唇を離すと

クタリと脱力した美蘭が

ふわりと笑顔の花を咲かせた。



「縛られるのが…嫌ではないのか?」



美蘭に想いを寄せている秀吉の名だからこそ耐えられなかったということもあるが

他の男を気遣う姿すら見ていられない

…そんな心の狭い男の愛情は負担ではないだろうか。



そんな、

「…嫌じゃありません。」


謙信の不安な思いは

「わたしは謙信様に縛られるのが、好きですから。」

「…!!!」



簡単に、

愛しさに置き変えられた。



(この深まるばかりの愛情をどうしたらいいものか…)




また、

自分をギュウッと抱き締めてくれる謙信に、

こんなにも溢れる愛情を向けてくれる謙信に、

自分も気持ちを伝えたくて、

美蘭は思いを口にした。



「白蛇に噛まれて気が遠くなったあの時も…このまま死んじゃうのかな…って諦めかけたあの時も…口付けしてくれましたよね。」

「…っ…。」

「あの口付けで…諦めちゃダメだ…って。生きなくちゃ…って、思えて頑張れたんです。」

今度は美蘭から謙信を抱き締めて、言った。

「ありがとう…ございました…。」



「……。」

謙信の体温は急激に低下した。



(俺はあの場で唇に口付けなどしていない。)



それは


つまり…。


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