第2章 連なる愛の謳【家康・政宗】
政宗は、自分の馬に美蘭と弁当を乗せて、隣国との境界までやって来た。
「着いたぞ。」
「う〜…うん…。」
馬の速度を上げる度に怖いと抱きついてくる美蘭が可愛くて、どんどん速度を上げてしまった。
政宗にとっては、たいしたことのない速さであったが、
まだ馬に乗り慣れない美蘭にとっては、刺激が強すぎた。
「そんなに俺に抱きついていたいのか?」
安心して自分にもたれかかる美蘭が愛しくて
くったりして動けずにいる美蘭の髪に手を差し込み、そのまま自然な流れで、唇をチュ…とかすめ取った。
「…っ!もう!」
「なんだよ。もっと濃厚なのが好みか?」
顎に手をかけてそう言う政宗に、美蘭は、まだふらつく頭で必死に抵抗する。
「何度も言ってるでしょ?こういうことは、好きな人にしかしちゃダメなの!」
「だから、俺はお前を気に入ってるって言ってるだろ。」
「それくらいじゃダメなの!」
「じゃあ、どのくらいならいいんだよ?」
「好きで好きで仕方ない。この人じゃなきゃ嫌。誰にも渡したくない。…って、思ったら!」
「…!」
政宗の頭に家康が浮かんだ。
急に美蘭に積極的になったのを見てイライラしたのは、美蘭を取られてしまうのではないか…と思ったからだったのか…と、妙に納得した。
「なら問題ない…。」
改めて口付けようとした
その時
「政宗様!」
2人の姿を見つけた家臣の1人が、駆け寄って来た。
(…お預けか。)
小さくため息した政宗は、家臣に向き直った。
「差し入れを持って来たぞ!」
「誠にございますか?!いつもありがとうございます。」
政宗は、馬から飛び降りて積んであった重を、家臣に手渡すと、馬に乗っている美蘭を、抱き降ろした。
「美蘭様も、わざわざお越しくださり、ありがとうございます。」
家臣の案内で、境界の際で、見張りをしている地点までやって来ると、数人の家臣たちが嬉しそうに出迎えてくれた。
「政宗様!」
「美蘭様!」
「お前らの力の源を持って来たぞ!」
「いつもありがとうございます!!!」
政宗はその場に敷物を敷き、重を広げた。