第22章 第21章 恋知りの謌【謙信】湯治編 〜車輪〜 ③
「…っ…ん…っんんんんっっ!!!」
いつになく深く激しい愛撫は、
美蘭を容易く上り詰めさせた。
褥の上でクタリと脱力し、
桜色に紅潮した肌は、深い呼吸で上下している。
達して一旦快楽という満足を得たであろう美蘭に、まだまだ満足を得ていない謙信が余裕のない声で言った。
「辛かったら言うのだぞ?」
どんな時にも自分を気遣ってくれる謙信の言葉に、キュンと胸を疼かせた美蘭は、
首を横に振って、
ふわりと笑顔を浮かべた。
「わたしも繋がりたいから…辛いはずありません…」
「…!!」
謙信は、顔を紅潮させ、熱の篭った瞳を揺らした。
「必死に耐えているというのに…っ…」
手加減できなくなるだろうが。
…そう思いながら、
謙信は、己の猛りを美蘭の中にグチュリと挿し進めた。
「ああ…っ…!!!」
それだけで、美蘭は、また達してしまったようだった。
「…っ…。」
ギュウギュウと己を締め付ける肉壁は、
紛れもなく、愛しい恋人が生きている証。
常に死と隣り合わせの戦国の世にあり、戦を繰り返し常に無事を祈られる側の謙信は、
今回の一件で、恋人の無事を祈り、帰りを待つ時間の辛さを思い知らされた。
(こんな思いをするのを知っていて、いつも笑顔で送り出してくれていたのか…。)
あまりの快楽と
あまりの幸せと、
あまりの愛しさに、
謙信は泣きそうな気持ちになった。
「……っ…?」
そんな謙信の気持ちを察して包み込むように
美蘭の手のひらが謙信の頬を包んだ。
「手加減しないで下さいね?いつもの謙信様を…感じたいんです…」
「…!!!」
愛しさが胸の中で濁流のように渦巻いた。
いつもの体温を感じただけで幸せなのだ。
いつものように抱いて
美蘭に生きている実感を感じさせてやりたい。
そう思った謙信は、
美蘭の身体を気遣って枷ていた箍を外し
思うように腰を振り始めた。
ともに快楽の階段を駆け上がる2人は
「…っ…謙信…さま…っ…」
「美蘭…っ…」
愛を交わし合い
快楽に塗れ
「っ愛して…いる…」
「愛…して…ます。」
トロトロに溶け合って
これ以上ない幸せを感じ合った。