第2章 連なる愛の謳【家康・政宗】
500年後の世界からタイムスリップしてきた私。
いろいろあったけど、
最近ようやく皆さんに受け入れてもらえている…ように思えるようになってきた。
そんな昨日
家康から突然、
好きだと言われた。
家康は、実は、1番苦手だった。
話しかけても、そっけなくて。
口を開けば、厳しくて。
ずっと、
わたしは嫌われているんだと思ってた。
だけど最近ようやく
そっけなくても、丁寧で。厳しくても、思いやりに溢れてる…ってことに気づいてからは、打ち解けることができた。
それなのに…
突然、あんなこと…
正直、やっと緊張しないで話せるようになったばっかりだったのに、また違う意味で緊張するようになっちゃったよ…。
真っ赤な顔でため息をつきながら、朝餉をぱくりと口に運んだ。
「…という訳だ、政宗、家康。俺は秀吉と三成を連れ隣国まで行って来る。光秀も所用があるとのことで安土を不在にする。留守は貴様らに任せたぞ。」
暫くすると、信長様の凛とした声が広間に響き渡った。
「…はっ。」
「わかりました。」
政宗と家康は、返事をした。
諸々の打ち合わせを終えた政宗は、すぐに美蘭の隣にしゃがみ込むと、美蘭の髪の毛を指に絡ませながら言った。
「美蘭、おまえ、どうせ暇だろ?付き合え。」
「…!どうせって…酷い!」
ぷうっ、と頬をふくらます美蘭は、武将たちからすれば可愛らしいだけ。
いつも政宗にちょっかいを出され 、ムキになる美蘭。
「政宗さん。弓の稽古を予定してますから。何かあるなら、その後にして下さい。」
そんな2人のやりとりを、お茶を飲み干した家康の一言が妨げた。
「…あ、そうだった…。」
家康に言われて予定を思い出した様子の美蘭。
「…チ。先約か。わかった。終わるころ迎えに行く。」
政宗と家康の間には、
なにか刺々しい空気が張り詰めていた。