第15章 恋知りの謌【謙信】湯治編 〜恋心〜②
「この俺でなければ物足りぬ淫らな身体にしてやる…。」
グチュグチュと、指の律動を続けながら言う謙信に
「あっ…ああ…っ…。」
喘ぎ声しか返すことができない美蘭。
(…謙信様…あの夜と同じ。)
抗えない快楽に翻弄されながら、美蘭は思った。
織田の武将たちに、温泉で湯の中に倒れ死にかけたところを救われ、織田の離れに運ばれた夜。
迎えに来てくれた謙信に、思いのたけをぶつけられ、おしおきと言われながら意識を飛ばすほどに抱かれた夜。
あの夜と同じ…
今、この場を支配しているのは謙信であるというのに
心許なく
今にも泣き出しそうに見える謙信。
「…あ…っ…す…き…っ…ああ…っ…。」
美蘭は、そんな謙信に、
どうしても伝えたい気持ちを、
必死に言葉にしようと試みる。
「謙信…っ…様……だけ…あ…っ…。」
強くて、義理堅くて、優しくて、
何にも流されない確固たる意志を持ちながら
薄氷のような脆さも併せ持っている。
(そんなに不安そうな顔をしないで…。)
自分の幸せのために感情を押し殺して耐えてくれた謙信も、
その耐え難い感情を自分にぶつけてくる謙信も、
愛しくて仕方ない美蘭。
「抱っこ…して…ッ…」
抱き締めたいのに、組紐に縛られた手では抱き締められない。
「…あっ…ギュッ…て…して…ああっ…!」
「…ッ。」
指に肉壁を絡みつかせながら、潤んだ瞳でされた愛らしい願いに、謙信はキュンと胸を締め付けられ、
たぎる男根は、もう我慢も限界となった。
自分も寝着を脱がぬまま、ヒクヒクと誘う肉壁に、堪らぬ想いでグチュン!と挿入した謙信。
「ああああっ!」
美蘭は、そのあまりの快楽に悲鳴をあげた。
「…ぜん…ぶ……す…き…っ」
朦朧とした意識の中、潤んだ瞳で謙信を見つめる美蘭。
「…おまえ…はっ…愛らしいにも…程がある…ッ…」
そう言うと謙信は、
ぱちゅん!ぱちゅん!と律動を始めた。
「ああっ!…あっ…あ…ん…っ」
謙信は、
可愛い喘ぎ声を聞きながら、
律動しながら、
目の前の愛しい頬を優しく何度も撫でながら
監禁して誰の目にも触れさせたくないほどに愛している…と、
独占欲と快楽で、目眩がした。