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【イケメン戦国】恋花謳〜コイハナウタ〜

第1章 梅の花 嫉妬の謳(秀吉誕生祝い2017)


「そう致します!!!ご無礼、お許しを。」


そう言いながら、信長の前で、律儀にまた深々と頭を下げると、


美蘭と三成の側へ寄り


「三成、ありがとうな。」
そう言って、美蘭を横抱きに抱き上げる。






「御館様。」


秀吉は、


美蘭を腕に抱いたまま振り返り、信長に言った。


「必ずや、御館様に認めていただける男となって見せます。」


高らかに宣言した秀吉の顔は、
晴れ晴れとしていた。


「ふ…。せいぜい、この俺の気が変わらぬうちにな。」




信長は、脇息にもたれなおしながら


「美蘭。秀吉に飽きたら、いつでも俺のもとに来い。」


美蘭に熱を秘めた視線を向けた。


「ありがとう…ございます?」


最後にまた、深々と頭を下げ、
秀吉と美蘭は天守を後にした。





安土城の中の、美蘭の部屋に帰って来た。


閨の乱れた褥。


枕元に乱雑に転がる懐剣。


この部屋を出て行った時の見苦しい自分を思い浮かべ、秀吉は心苦しくなった。



畳の上に美蘭を優しく降ろすと、


秀吉は、姿勢を整えて美蘭に頭を下げた。


「さっきはすまはかった。美蘭が、信長様のものになってしまうんじゃないかと…自分を見失なっていた。」


素直にあの時の心境を吐露する秀吉。


「…どうして、信長様がでてくるの?」


あの時の、少し乱暴な秀吉を思い出したのか、美蘭は、探るような怯えるような瞳で秀吉を見上げた。



「あの懐剣は、織田家が婚礼の儀に代々使用してきたものなんだ。俺は、信長様のあのように深いご配慮に気づけず…信長様にお前を取られてしまうんじゃないかと思ったんだ。情けないよな。」


「…!取られちゃうなんて…そんなことあるわけないよ?」


美蘭は、包み隠さず伝えられた秀吉の自分への愛情に赤面しながら、言った。





(わかってネェな…。そのほうがいいかも知れないが。)


秀吉は軽く溜息をつく。


信長だけではない。周りにいる武将たちは皆、美蘭を女として気に入っている。


あの宴で、またそうした男が増えてしまったことだろう。



(だが、美蘭はこの俺だけのモノだ。)

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