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【イケメン戦国】恋花謳〜コイハナウタ〜

第5章 囚われの謌【光秀】共通ルート


「ご馳走さまでした♡」

暫く子鼠のように震える美蘭を楽しんだ後、解放してやり、食事を楽しんだ。

「猪鍋、初めてだったんです!こんなに美味しいんですね!」

あの怯えた顔は何処へやら。美味しかったと感動したことを笑顔で伝えてくるその姿は愛らしい。



この女の

こういう単純さや

竹を割ったような潔さが気に入っている。



か弱いようで芯は強い。

騒ぐが、何事も引きずらない。




(…ふ。気に入っている所ばかりか。)




店を出て、

月を見上げながら、

安土城を目指して2人で歩いていた。



ただそれだけだというのに

光秀の心は満たされていた。







…ジャリ。

「…!?」




他愛ない話をする美蘭を揶揄いながら街中を抜け、田や畑に囲まれた田園地帯を歩いていると、

光秀は、

山側の茂みに、不穏な空気と人気(ひとけ)を察知した。



ザザザッ…!

その不穏な空気は、

茂みから飛び出して来て2人の行く手を阻んだ。

「貴様、明智光秀だな!」

数人の侍風情が、刀を抜いた。

「…きゃっ!」

突然のことに驚き、怯えた表情に変わった美蘭。

「…相違ないが。貴様らは何だ。」

光秀がちらりと視線を走らせれば後ろにも数人。

完全に囲まれていた。



「その身柄、預からせていただく!」

2人は刃で取り囲まれた状態で、駆け寄った侍たちに縄で後手に縛り上げられた。



(心配するな。)

美蘭にしか聞こえない小さな声で光秀が言うと、

美蘭は、こくりと無言で頷いた。




そしてそのまま、山側の、道なき道に引き入れられ、山道を延々と歩かされた。



(思ったより早々に露見したな。)



光秀は冷静だった。

他国へ潜伏していた際、織田の嘘の情報を流し、ここのところ織田への謀反を噂されている大名に擦り寄る振りをしていた。

光秀を信頼したその大名の側近から、大名が、暫く前から安土討伐に向けた準備を始めていたことを聞き出し、安土に伝えるべく戻ってきたのであったが、

それに気づいた側近が、部下に光秀を追わせたのであろう。

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