第5章 囚われの謌【光秀】共通ルート
今日見つけた金平糖は、
稀に見る美しい色や形のものだった。
贈れば、珍しいものが好きな信長は必ずや喜ぶだろう。
此処まできたら、あの金平糖を絶対に信長に贈りたい。…そう思った美蘭は
「……わかりました。」
素直に返事をした。
まさかこんな内容だとは思わなかったが、引き受けたバイトである。夕餉限定のお世話役だと思って従事しよう、と美蘭は覚悟を決めたのであった。
真っ赤な顔をして、上目遣いで自分の口に食べ物を差し出す美蘭の姿に、
自分のために甲斐甲斐しく動き回る美蘭の姿に、
光秀は、なんとも言えない満足感を感じていた。
(いつから俺はこんな趣味になったのか…。)
縛られるのは好きではないが、快楽は好きだ。
だから女は嫌いではない。
だが、さして必要とも思ったことはなかった。
女という生き物は、おだててやれば情報をすぐに漏らすから、格好の情報源として関わってきたが、
面倒な駄々をこねる女は苦手だし、特定の相手を持つというのもずっと面倒だと思ってきた。
そんな俺が…
美蘭が信長様のモノになったと知ったとき、
言葉にし難い激情に駆られた。
たとえ相手が信長様でも
美蘭を渡したくないと思った。
飽きるまで待とう。
…そう思ったが、
信長様の寵愛は深まっていくばかり。
他の武将たちの美蘭の可愛がり方も尋常ではない。奴らの美蘭への執着も増していくばかり。
城へ帰れば、
あっという間に横から攫われるだろう。
今日は思わぬ流れで
今、美蘭を独り占めできている。
ちょっと揶揄ってやるだけでこの反応。
褥の上で全てを暴いてやったら、
いったいどうなるやら。
赤い顔で、俺の反応を伺いながら、文句を言いながらも、結局最後は従順に尽くしてくる美蘭に、
金平糖のためだと
信長様のためなのだと
それがわかっていても、
身体が疼くのを止められない。
心が疼くのを
止められない。