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【イケメン戦国】恋花謳〜コイハナウタ〜

第4章 恋知りの謳【謙信】


「ならば貴様は、何をしに来た?」

信長は、

美蘭をギュッと抱きしめながら謙信に問う。




「返してもらいたい物がある。」

謙信は、淡々と答えた。






「貴様の何を返せと?」

信長は、眉間に皺を寄せ怪訝な顔で問い返す。







「その女を…美蘭を寄越せ。」






その言葉に、

美蘭の心臓はドクリと音をたてた。

(…!…わたし…を?いったいどうして…)



丁寧な扱いを受けたとはいえ、たった先ほどまで、戦の駒…人質として扱われていた美蘭である。

謙信が別れ際に挨拶すらしてくれなかったのは、また自分を戦の駒にするつもりがあったからなのだろうか?

…そんな思いが、美蘭の中を渦巻いた。




「…は?何言ってるの?」
「ふざけたこと言ってんじゃねェ!」

家康も政宗も、突然現れた謙信の意味不明な発言に、素直に抵抗する。



「美蘭様は織田軍ゆかりの姫様です。」

三成は冷静に諭すようにそう言った。



だが


「表向きはな。」



「「「 …!!! 」」」

織田軍しか知る由もない美蘭の素性に切り込まれ、織田の武将たちは、驚きを隠せなかった。




「聞けば…500年先の世から来た女だとか。織田家ゆかりの姫とは名ばかりであろう。」

更に続く謙信の言葉に、

「何故それを…!」

直情型の政宗が思わずこぼした言葉に気づいた謙信は続けた。

「俺も昨日知ったばかりだが…うちの忍びも500年先の世から来た人間らしくてな。2人は同じ来世から来た仲間として連絡を取っていたようだ。」



それを聞いてまた驚いた家康、政宗、三成の厳しい視線が美蘭に突き刺さる。

「…っ!」

安土で話していなかった佐助との関係を予想外のかたちで暴露された気まずさに、美蘭の身体がピクリと跳ね上った。




すると今度は

「貴様…この俺に隠し事をしていたのか?」

耳元に信長の低音が響き、

「信長…様っ、、ごめんなさい…っ。」

あまりの近さに吐息も吹きかかり

美蘭は背筋をゾクリとさせられ、ふるりと身体を震わせた。



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