第2章 濵田崇裕
あいたたた、と
包帯ぐるぐる巻いてる濵田センパイ。
慌てて走り寄ると、
かなり落ち込んでる様子で。
「やっぱ悪い事するとこうなんねんなあ」
『大丈夫ですか?怪我は…』
「…なんで怒らへんの?」
心配する私の言葉を遮って、
じっと見つめる視線から目をそらした。
黙り込む私から視線は1度も逸らさない
濵田センパイは、私の手を握った
「俺、ちゃん以外の子と
色んなことしてんねんで。嫌いにならんの」
『嫌いに、なってほしいんですか?』
「…俺かて好かれたくて必死やねんで」
初めて、濵田センパイから聞いた、
本当の心の奥の言葉。
「好きすぎる俺が嫌や。
小さなことで嫉妬して怒って
なのにちゃん怒らへん」
『…いや、あの』
「分かってんねん、やり方間違いなのは…
せやかてしゃあないやんか。分からんもん!」
『濵田センパイ、』
「俺、悪いことしたんやで
浮気してしまってるねんで??」
そんなに怒られたいのかな、
なんて思いながら。
何故か私は彼の頭に手を置いて
優しく撫でていた。
「…えっ」
『大丈夫ですよ、センパイ。
私は全部分かってますから、大丈夫です』
そう優しく撫でていたら、
濵田センパイは泣いていた。