第2章 濵田崇裕
出会いは必然だと思った。
偶然、伸ばした手が重なって
お互い一気に手を引いた
「『すみませんっ』」
目が合えば同じ学校の制服、
思わず笑いがこぼれて
再び頭を下げる
ほんまはいつも本屋で見かけてた。
俺の好きな本を読んでて
それ面白いよなって勝手に共感してた
そうして仲良くなった俺らは
共通の友人が居ることを知った。
そいつは神山。
ぎゃあぎゃあいつまでも
ガキの重岡と違い、優しく大人しくて
女の子に人気な奴だった。
『濵ちゃんも友達だったなんてね』
「俺もびっくりした〜」
なあ?と楽しそうに微笑み合う2人を見て
これ、俺の入る隙間ないやんって
すぐに思い知らされてしまう
まだ始まったばかりの恋も、
終わりを告げるには早すぎた。
「ほんまやなあ、びっくり!」
この苦しい気持ちを、
どうにかして楽にしたかった。
だけど、君は無邪気に
俺を傷つける。
『神ちゃんのこと、好きなの、私…』
ナイショだよ、なんて
可愛く笑うから。
俺もうまく笑えてたかな…なんて
泣きたくなる気持ち。