第1章 中間淳太
「役立たず」
響き渡る声は、
たまたま通りかかった俺の耳には
しっかり届いていた。
何や、と覗き込めば
が小瀧に怒られとった。
やっぱり目をつけられたんかな。
「お前にこんな仕事任せてさぁ
損失になるの分からへんのかな〜?
書類整理だけしとればええねんお前なんか」
平気で浴びせる言葉に、
周りもやっぱり唖然としていた。
「小瀧、言葉に気ぃつけろ言うたよな?」
「淳太やん、まあ言うたなぁ?」
「その仕事はが出来ると思うて
やらせてんねん、お前がどうこう言うな」
『…あ、のっ』
「私情を仕事に持ち込むな言うてんねん」
数年前、小瀧はの上司やった。
仕事ができる奴やったから、
みんな信頼してたいい上司。
が新人で、
仕事もあまり分からない時に
小瀧が教育係として受け持った時に
噂がたった。
"小瀧さんはさんがすき"
その噂は、しばらくして事実となり
は小瀧を振ったんや
その後、系列の会社に行ったけど
異動の前まではあたりが強くて
もなかなか堪えとった。