第1章 中間淳太
私のお兄ちゃんは、凄く頭が良い。
成績も常にトップだし、
なんてたって生徒会長もしてるの!
だからお兄ちゃんを知らない人はいない
人気者で、カッコよくて
よく告白とかされてるって!
でもお付き合いした人は聞いたことない
「今日も生徒会で遅なるけど。
お前はどうする?先に帰っててもええよ」
『ううん、待ってる!
ママとパパに手紙の返事書くの』
「あー。このまえ来てたもんな」
『うん!もうすぐ迎えに来るって!
高校も海外の方に変えるんだってー』
楽しいかなあ〜って言うと、
お兄ちゃんは少しだけ
寂しそうな顔をした
『…先生にもお話しなきゃな!』
「英語とか勉強しとかんとな」
『お兄ちゃん教えてよ!』
いつか来るお別れの日。
それがもう近づいてると知った時、
どこか私は、
モヤモヤっとしたものがあった
それが何かは分からない
でもお兄ちゃんは、
「お兄ちゃんって呼ぶなや言うてるやろ」
素っ気ない返事だけをして、
歩くスピードを速めた。