第1章 中間淳太
俺とあいつは真反対。
早起きして朝飯を食べて、
歯を磨いて準備をした頃になって
あいつは眠そうに起きてくる。
制服に着替え、さあ行くか、ってなる頃、
あいつはご飯を食べ終わる
マイペースで泣き虫の寂しがり屋
お兄ちゃんお兄ちゃんと言っては
ニコニコ笑ってる。
【のこと、お願いします】
2つ下のお前は、
ふわふわの布団にくるまれ
母親に抱かれ俺の家へと来た。
夫婦揃ってあいつをオカンに差し出すと
スーツケースを引きずり
車に乗って海外へと飛びだったんだ
「はよしろやお前は」
『もうっ、もう行く!』
こいつはほんまの親の顔を知らない
定期的に届く手紙を読んでは
早く会いたいなって言う
「先行くで」
『あー!!待って待って!』
いつか来る、お別れの日まで
俺はこいつと、
どれだけ一緒におれるんやろ
『お兄ちゃん歩くの早い!』
「お兄ちゃんとか呼ぶなや。」
『だって…、お兄ちゃんじゃん』
「俺はお前の兄やあらへん」
赤の他人やで、と言えば、
俺の気持ちなんか
お前に届かへんやろうな。