第1章 中間淳太
"淳太の忘れ物、届けてくれへん?"
母が体調崩したから、
私が代わりに届けることに。
男子校と言ってもにいにの知り合いと
言えば中には通してもらえるらしい
『うわぁ、広っ…』
有名進学校だけある。
かなり広くて、なんかお金持ちっぽい
警備員さんの案内で事務室へ。
『ちょっと待ってねえ。
今から呼び出すから』
待つこと10分、
走ってやって来たにいには
友達も連れていた。
「ごめ、ありがと!わざわざ」
「妹?弟だけちゃうかった?」
関西弁を話したお友達は、
昔からの友達みたい
「ううん、幼なじみ」
な?と聞いてくるにいに。
私もうん、と小さく頷く
「やから手出すなよ、照史」
「出さへんわ!」
『にいに、これおばさんから…』
「にいに!?かっわええな!
俺のことはあっくんって!ほら!」
「あほ。いきなりグイグイ行くなや」
ほんまに、と笑いながら
なんだか楽しそう
「俺、このあと暇やから
も暇ならどっか行こ」
『え、いいの?』
「ええよ。またあとで連絡するから」
またな、
また優しく頭を撫でる。
先に歩いて行ったにいに、
照史さんは少し近寄って来ると
「淳太くんのこと、
好きなんやったら何があっても
淳太くんのことは離したらあかんで」
そう言って走り去ってったけど
私はこの言葉の意味を
まだ理解出来なかった