第1章 中間淳太
"淳太に婚約者として見合いさせる"
聞いてしまったその話を
私はすんなり受け止めきれなかった。
元々前からあったお見合い話。
高校に入ってからと決めていたらしい
我慢しようとしてたのに、
涙は簡単にこぼれた
『…、仕方ないでしょ?
淳太くんのお家はそういうお家だから』
『わかっ…てる、でもっ…』
早く諦めて、ちゃんと笑顔で
おめでとうと言ってあげなきゃダメだ。
にいには優しいから、
泣いてたらきっと心配するから。
"何があっても離したらあかんで"
照史さんの言葉が
頭の中で響く
だけど…私には…
バンッ
「オカン!どういうことやねん!」
ブレザーを着たまま、
にいにが怒った声色で入ってきた。
『どうもこうも、聞こえたとおりやで?
シオリさん、って言ってなあ…
「いらん」
『え?』
「婚約者の為のお見合い?いらん
そんなのいらん、婚約者にするなら…」
びしっと指された先は
『わ、わたし…?』
「以外のやつとは結婚せえへん
我儘言わへん、から。俺はこいつが欲しい」
例えそれがいけなくとも、
そう言ったにいには
私の手を握り走り出した。
end.
ロマンチックすぎやで、と笑いながら
息を切らしながら走る彼の後ろ。
涙が流れてるなんて気づかなかった。
幸せすぎて、笑いが止まらなかったの
「一目惚れやった」
好きやでと囁かれてしまえば、
私はもうあなたのもの