第5章 神山智洋
さすがにマズイと思った淳ちゃんが
私に気遣って、
あわあわと焦り始める。
「あ、えーと!
俺ら居残り勉強してんねん!
せやからぁ…2人で先に帰って!」
下手くそなフォローやん
「勉強?誰のや、照史?」
「なんっで俺のやねん!天才やぞ俺は」
「えー。じゃあちゃん?」
「そ、そうそう」
「それなら神ちゃんが
教えたったらええやんか。
頭ええし教えるのめっちゃ上手いで」
ちょうどおるし、
とまた空気を読まない濵ちゃん
いくら鈍感でも
さすがに気づいて欲しい。
「…あんの、あほっ…!」
「え?あほ?」
『あ、ええ!大丈夫!
もうそろそろ帰ろうと思っててん!
私は片付けて帰るし2人先に帰りや』
「あ、お、おんっ」
「ごめんなあ?」
淳ちゃんとあっくんが
カバン取って帰ろうとすると
濵ちゃんの後ろに控えていた神山くんが
ひょっこり顔を出した
「俺残るから3人で帰って」
予想もしない一言に淳ちゃんとあっくんは
「「えっ」」
と声揃えて驚いた
もちろん私だって驚いた。
「まあ、帰り暗いしな
帰り道も一緒なんやろー?
神ちゃん送ってやりや」
「おん、そのつもりや」
「え、あ、ならっ、
俺のが近いし!俺が残るで!?」
「なに言うてんねん!
照史は遠回りやろー?」
あほかお前〜と
未だこの空気感に気づいてない濵ちゃん
アホはあんたやで、濵田…