第5章 神山智洋
初めましての人にはよく聞かれた。
神山くんって彼氏なの?って。
智くんはいつも私と一緒にいてくれる。
昔からどこに行くにも一緒で
あの質問もよくされてきた質問で。
「俺は幼馴染みやで」
こう答えてきた智くんは、
いつもずっと、
ちょっと傷ついた顔をしてた。
だから質問なんてされる前に、
最近は先に
『智くんとは幼馴染みやねん』
って、教えるようにしてた
私と智くんは性格が似てると言われた。
他の異性といる時は、
不機嫌になって嫌やって言うところ。
自分以外の人と遊ぶ時は
いつも連絡を入れているところ
とにかくお互いだけの世界で
私達は成り立っていた
だからこそ、
「ちゃん、神ちゃんのこと
ほんまは幼馴染み以上に思っとるんちゃう」
そう言われたとき、
こぼれ出した涙と言葉が
ああ、そうかとすんなり納得してた。
好きなんだ、智くんのこと
「…ちゃんっ!?
な、泣かんといてやあ。ごめんな?」
『…りゅうくん、どないしよ……』
好きだと気づいてしまった。
幼馴染みとして、
見られなくなってしまった。