第1章 中間淳太
待ち合わせた場所に急ぐと、
もうすでに淳太くんが着いていて。
いつもならナンパとかされてて、
ヘラヘラ受け答えぐらいはするのに
「人待ちなんで、すんません」
と愛想笑いして断る。
「!」
私に気づいて駆け寄る淳太くんが
なに突っ立っとんって笑う
その様子はいつも通り。
だけど私はそういう訳にもいかなくて。
「そこのカフェでええ?」
新しく出来たカフェを指す。
確かお友達が開いたカフェだって、
そう言ってたような…
「大丈夫だよ」
ほな行こ、と手を引かれる。
そのカフェは平日なのもあり、
人はそんなに多くなく
話すのにはバッチリの賑わいだった。
「濵ちゃん、奥の席、ええよね」
「あ!ええでー!飲みもんは?」
「ええわ、後で頼む」
ええよな?って私にも確認をとる。
小さく頷き、淳太くんが言ってた
奥の席に向かい合って座る
そうして一つ息を吸った淳太くんが、
「あんな、俺…台湾に帰ることになってん」
そう言った。
元々、台湾に住んでた淳太くんは
親の都合で一時的に日本に来ていたみたいで
仕事上、また台湾に帰るらしい。
「せやから、行く前に言いたいことある」