第3章 桐山照史
" 頼む!今日だけ! "
同級生に必死に懇願され、
バイト終わり遊ぶ事になった。
だから無理を言って今日は
早上がりにしてもらった
あとで小瀧さんに謝っておかなきゃ…
「その同級生は仲ええん?」
『はい。幼馴染みです』
「へえ〜!女の子?」
『男ですよ。ヘラヘラしてます』
男らしさの欠片もないやつだけど
割りと人気者ではあるみたい
人と仲良くなるのが上手だから
今日だって特別、私じゃなくたって
他を誘えばいいものを。
なんて、不満な事を心の中で
考えていたら
それが顔に出ていたみたいで
「ひどい顔になっとるで」
くくく、と笑う店長。
恥ずかしくて照れ笑い。
ガラッ
静かな店内に響く扉の開く音。
「ー!来たでぇ」
それはニコニコ笑う重岡の姿。
予定の時間よりかなり早め
このひと時計読めないのかな?
1時間も早いんだけど…
『大毅、うるさいから』
「ほぉ〜。誰もおらんやんけ」
「はっはっは、元気なやつやな」
ええこっちゃ、と笑う店長。