第3章 桐山照史
それでも俺はもっと気づくべきやった
君が彼氏だと紹介した時、
引きつった笑顔を浮かべていたことに。
紹介したあの日から君は俺のところに
寄り付かなくなっていた。
見かけて声をかけようとしたけれど、
隣にはあの彼氏がいて声が出てこなかった。
幸せなふたりを、守ると誓った俺が
邪魔するべきなんかやない
それからの俺は、ボーッとする日が多く
何もやる気も気力も出なくて
「俺も彼女作ろうかなあ」
「彼女?珍しいな、照史がそんなこと」
「俺かて彼女ぐらい欲しいわ」
「でもちゃんと一緒に居った時は
そんなこと言わへんかったやんかぁ」
そうやっけ?と、とぼけると
濵ちゃんはそうやってぇと怒る。
「せやからいつか告るんかなあ〜って
ずっと気になってたんやけどな〜。
別に好きちゃうかってんな?」
「…うっさいぼけぇ」
「えっ、タブーやった!?」
そうや。
俺は気づくのが遅すぎたんや。
守るなんて勝手に言うて、
あほらしすぎるわ
「でもちゃんと彼氏?
なんか付き合っとる雰囲気ないよなー」
ふと呟いた言葉に反応すると
「やってさ。普通、付き合いたてやったら
まあ、イチャイチャというか?するやん
でも付き合ってるって言葉よりかは…」
付き合わされてる、みたいな言葉が合っとる