第3章 桐山照史
それから彼はお昼になると
私の隣に座ってご飯を食べるようになった
いつも座る桐山さんの特等席には
自称ニコニコ天使ちゃんで有名な
重岡さんとチャラくて有名の小瀧さんが
楽しそうに座っていた。
「もうすぐ夏やな〜!さんは
夏はどっか旅行とか行くん?」
『まあ、それなりにお出掛けはします』
地元の幼馴染みの智くんが
夏になると私のいる東京に来て
観光やらしていく恒例行事がある。
大学生だし友達と遊べばいいのに、
つまらへんからええの!と
1度だけ怒られて言わない事にした。
「分かった!彼氏とかやろ!」
『いえ…、そんな人はいません』
「そうなん?好きな人もおらんの?
なんなら俺が全力で協力したるで〜!」
オススメはしげかな〜
とペラペラ喋る桐山さんは
どこかなんか楽しそう
『桐山さんはいらっしゃらないんですか』
だけどそう聞いた途端に、
桐山さんは気まずそうな顔をした。
「うーん。完全なる俺の片思いやし…、
でもでも!俺は諦めへん!」
『応援してます』
好きな人がいる、
その事実を知った瞬間、
ズキズキと痛んだ心
初めての気持ちに
何だかよくわからない感情になった