第3章 桐山照史
世の中そんなに恋愛が大切なのか、
私は日頃からそう思い続けた
それは現在進行形で。
黙々と真面目に仕事に取り組んで、
積極的に話しかける勇気もなく
友達は少なくって。
お昼ご飯はいつも1人。
中庭のベンチに座った視線の先には、
いつも明るく大きな声で笑う、
桐山照史さんがいた。
自然に人を集めるって、
あの人の事を言うんだろうなと思った。
どんな人にも笑って優しくして、
困ってたら助けてあげて
損な性格だとつくづく思う。
そんな彼が私に話しかけたのは、
お昼ご飯に食べようとおにぎりを
口に運ぼうとした時だった
「なあなあ!」
ニコニコニコニコ笑って、
真夏の太陽みたいなその笑顔で
「隣に座ってもええ?」と聞いてきた。
勝手に座ればいいのに
許可なんか取って変な人。
『どうしてここなんですか』
なのに、可愛いことも言えずに
まるで怒ってるみたい。
睨むように見つめた私に
「さんってさ、人付き合い苦手やろ?
せっかくやし仲良くなろうかなーって!」
遠慮なく〜と隣に座って
嬉しそうにお弁当を広げる。
手作りなのだろうか、
彩りが綺麗で
バランスの良いお弁当。