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俺らと粉モン食べへん?

第3章 桐山照史





断るにも、「大丈夫です」なんて言って
立ち去る勇気もない私は

ニコニコ微笑む彼の隣に大人しく座った。



見えなかったが、足で隠れていた袋には

たくさんのパンとおにぎりがあった



「実はちゃん来おへんかな〜って
ずーっと待ってたんやで?ははは」


無邪気に笑う彼は照れくさそうに
またパンをかじった


どう答えたらいいのか分からずに、

お弁当をぎゅっと握りしめた


「はよ食べえや!時間なくなるで」


と無理やり弁当袋を開けられ
広げられるお弁当。


こんな人だったかな

なんて少し考えてたら、
どうしたん?と顔をのぞき込む。


「いつも1人で食べてるやん?
寂しないの?友達とかと食べたら…」

「……友達、まだいなくて、」


「あは、初めて喋ったな
つーか声も初めて聞いたかもしれんな」


ははは、と明るく笑うから

私もつられて少し微笑む


彼は人を笑顔にさせる能力があるみたい



「声かけたらええのに」

「…1人が、好きだから」


そっか、と微笑む彼だが
やっぱり立ち去る考えには至らないらしい


何考えてるのか分からなくて、

誤魔化すために
1口ご飯を口に運んだ。


「俺も1人好きやで?」



思わぬ答えに、

「えっ」

なんて素っ頓狂な声が出た。







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