第3章 桐山照史
ぼーっと、窓の外の景色を見つめた。
晴れた雲一つない空の日は、
屋上で寝そべってお昼寝したいな。
運動は苦手だし、
授業はつまんないし。
ベラベラ話す数学の授業も、
チャイムの音にかき消されて
号令の声が聞こえた。
お昼休みの時間、
教室を出ていく人や机を動かす人
そんな中で私は1人、グラウンド端の
木下が私の特等席だ
お弁当を持ち、このお昼休みの時間のときは
歩くスピードが速まる。
一人の時間は凄く好きだ。
「…あ」
先客がいた。
パンをかじり、ぼーっとする人
私は彼を知っていた。
確か桐山照史、って名前だった。
ムードメーカーでフレンドリー。
場を盛り上げるのが得意で
いつも何かしらふざけている。
彼の周りにはいつも人がいた。数人。
だから見ていて疲れないのかなあって、
ちょっとだけ思っていた。
別のところに行こうかな
止まった足を静かに
違う方向へと踏み出そうとした時だった
「…ちゃん?」
なかなか彼の声は通る声だと思っていた
大きな声でなくとも、
少し先まで聞こえてしまうから
だからその声は私に聞こえてしまう。
「ご飯、来たんちゃうの?
隣に座ったらええやん、ほらここ」
どうやら彼は、
邪魔やんなと言って
立ち去るという考えには至らなかったらしい