第3章 桐山照史
"みなさーん、リハーサルお願いします!"
スタッフさんに呼ばれて
みんなスタジオへ行ってしまった
静かになった楽屋の中で
散らかった机の上やらを
片付けることに。
「…っ、は、ちゃん!良かった」
慌てた様子で入ってきたのは、
汗かいた中間さん
少し急いだ様子だ
「照史、衣装の上着破いてもうてな
代わりの上着渡したかったんやけど、
空いてるのちゃんしかおらんくて
急ぎで渡してもらってええかな?」
『私が…ですか』
「俺はこのまま収録あんねん!」
よろしくな、って上着放り投げて
その勢いのまま出て行った
リハーサルからの違う収録なんて
忙しいんだなあ…
「急いで持ってかないとね」
携帯をポケットに入れて、
上着抱えて急いで楽屋を飛び出した
リハーサルと収録と、あって
廊下は静かでADさんやらが
慌ただしく走り回っていた
照史くんがいるスタジオに入ると
私に気づいた照史くんが
ぱぁあ、と嬉しそうに笑った
「ありがと、!」
『間に合った?』
「大丈夫やで!準備で収録遅れてんねん」
せやから話し相手になってやと
私を無理やり椅子に座らせた