第3章 桐山照史
「なーあ!早くタオル〜〜!」
『近くにあるからそれ使って』
「アイロンとスプレー!!」
『はいはいどうぞ』
「えー。なんか失敗や…萎えた」
『セット失敗しただけでしょーが』
「淳太と俺の靴どこや」
「濵ちゃんが片付けたやんか〜」
『これですよね、はい』
「ごめん、水ちょーだい」
『はーい』
私がここに来れば、
ひたすら雑用に使われる。
マネージャーみたいなもので、
本当のマネージャーは打ち合わせ中。
いない間の連絡係だ。
「お前ら自分でやれや!」
そう叫んだのは、
準備を終えた照史くんだった。
これからリハーサル。
衣装もばっちり、
ヘアースタイルもメイクも。
アイロンで頑張ってセットする小瀧くんは
「無理〜神ちゃあん」
と泣きべそ。
「無理、俺、振り付けの確認してるから」
と部屋の片隅で
1人振り付けの確認する神山くん
「りゅーせい」
「やる気起こらへん……
セット失敗した…もう無理…」
藤井くん、普段は上手にセットするけど
今回ばかりは失敗してやる気ゼロ
あと15分でリハーサルなのに、
この2人ときたら
まだ衣装に着替えてない。
『私がするからちゃんと座って』
「、」
『照史くんは小瀧くんの手伝って』
せっかく一番に着替えたのに、
とちょっとしょげた照史くんは
「やったあ、ありがと照史くんっ」
なんて無邪気に小瀧くんが嬉しそうに笑うから
それにつられて笑っていた。