第3章 桐山照史
ずっと話しているのに、
スタジオセットはまだ終わらないらしい。
どうやらセットの1つを落として壊し、
その修復作業に手間取ってるらしい
「もうちょいかかるって!長いなあ
このままやともう一つの収録始まるやん」
『すぐ終わるといいね』
なんて話していたら、
スタジオに安田さんが入ってきた。
レギュラー出演らしくて、
MCを務めてるみたい
「わあ!やっほー!」
『お久しぶりです、安田さん』
安田さんとは何度もお会いしていて、
割と仲良くしてくれてるんだ
「桐山も〜!仲良しさんやなあ!」
『いえいえ、話し相手になってるだけで』
「そーなん?僕もまーぜてっ!」
「…」
なあなあ、と
安田さんはメンバーの話を始める。
かなり楽しそうに話すから
私も思わず聞き入ってしまう。
横に座る照史くんは、
そんな楽しそうに聞く私に
不機嫌な顔
「ヤスーっ!ここおったん!
まだメイクしてへんやろ!戻ってこい!」
出入口付近から横山さんが呼ぶ。
「あ、せやった、ごめん!またなあ」
ひらひら手を振って去ってった安田さん
ちょこちょこ歩いて可愛らしいなあ…
「…俺のこと好きなんちゃうの」
小声でそう言うから、
思わず「え?」と聞き返す。
「俺以外にええ顔すんなや…」
不貞腐れた顔をして、
ふんっとそっぽを向くから。
子どもだなあって言うと
「俺をこんなに好きにさせといてそれないわ」
そう言って、にやりと不敵な笑みを浮かべて
end.