第2章 濵田崇裕
放課後になり、教室に忘れ物取りに行くと
肩を震わせあいつが泣いていた。
ハンカチで顔を覆って声も押し殺して
「泣いとるとこ悪いけど完全下校時間やで」
俺の声にビクッと大きく肩を震わせる。
だけど顔も上げず振り向きもせず
あくまで泣き顔は隠していた
どうせろくな事じゃない。
「なんや。淳太に悪口でも言われてたか?」
適当な発言してもこいつは言い返さへん。
「あんなあ?言わな分からへんって。
聞いて欲しいなら言えや早く」
隣に座ると、こいつはゆっくり顔を上げた。
泣き腫らした目を俺に向けた。
『…彼女おるねんて。他校の人やって』
涙声でそう言ったこいつが
またボロボロと涙を流していた。
「…お前知らへんかったん」
『知らん、やって言うてくれへんかった
彼女おるから付き合えへんって!』
「なんて断られたん?」
『私の事は、好きになられへん…って』
「はは。拒否されてるやん」
笑い事じゃないからっ!
と泣きながら俺を叩く
『好きなんなきゃ良かった』
また俯き泣き始める。