第17章 ありがとう
「あの、、、お母さん。私、これ持つんですか」
「貴女が持たなくて誰が持つのよ」
座席に着いて改めて買ったうちわを見て少し震える
普通のうちわよりだいぶ大きなそれには外行き用の笑顔の和さんの顔面がでかでかとプリントされていた
「今のうちに慣れておいたら?…ほら」
そう言って私の手からうちわを奪い取って自分の顔に当てるお母さん
「ほら〜。ニノだよぉ。みんなのアイドル。二宮和也です」
何故か横にゆらゆらしながら言うお母さんに吹き出す
「フフフフっ。お母さん面白い。和さんそんな事言いますかね?」
「えぇ。あの子は言うわ。昔からおちゃらけてるんだから」
ずいっとうちわを突き出して渡されて
和さんの顔が近くなって思わず顔が熱くなる
だからお母さんからうちわを引き取り裏返しにして顔を隠した
そしてこの後の自分の心臓を心配する
「私…………耐えれるかな」
「やっぱりやめる?」
ちょっと心配そうに言われて
「……………ふぅ。………いえ。頑張ります」
「これってそんなに頑張ることかしら」
なんだか呆れた様な声が聞こえた気がしたが深呼吸して
ちょっと息を止めて
うちわを表にする
「………わぁ。…目、、合っちゃった」
「ぶっ、、、、。由梨ちゃん。やめて。捩れるわ。腹が」
小刻みに震えるお母さんを他所に頑張って和さんと目を合わせて
「……………ふぅ。………お母さん。多分大丈夫です!」
「……そう。…もぅなんでもいいわ」
さっきとは違う涙を浮かべながらハンカチを取り出すお母さん
来たからには嵐さんのライブ沢山楽しみたい