第2章 楓編
「とりあえず、横になって。」
あの後由梨を連れて産婦人科へ。
おそらく妊娠6カ月と診断された。
堕胎の選択肢はなくなり産むしかないところまで来ていた。
由梨は先生の話を聞きながらなんとなくお腹に手を当て心ここに在らずな顔をしていた。
病院帰り、強制的に自宅に連れて行きベッドに横になる様に言うと素直に従った。
そんな姿が私の胸をギューっと握りつぶされたようになる
それでも、聞かなければと大事な質問をした
「…ねえ。由梨。その子。彼氏の子なの?」
そう言うと由梨は激しくビクッとし、おずおずと頷いた
「由梨のこと。そんなにしちゃったのも彼なのよね?」
ベッドの端に腰掛け優しく頭を撫でる。もう由梨の顔をまともに見ることができない
「…バカ。もう、お母さんなんだから。しっかりしなさいよ」
もう涙は止まらなくて泣きながらギュッと力強く抱きしめた。
抱きしめた瞬間、ごめんなさい。と言い私の腕の中で初めて泣いた
そんな由梨を見て私も声が出るほど泣いた
暫くして泣き疲れて私と由梨は抱き合いながらいつのまにか眠っていた。
目を覚ますと私の腕の中で由梨は眠っていて頬には涙の跡が残っていた
眠っている姿はどこかあどけなくて愛おしいという気持ちが込み上げてくる
思わず頬にキスしてベッドから抜け出し起きた時の為にスープを作った
さっきの由梨の寝顔を思い出し思わず頬が緩む
私にもこんな感情があったのかとフフッと笑う
暫くすると由梨が起きて来たのでスープを進めると思ったよりもしっかり飲んでくれて安心した
「あら、食べれるじゃない。」
クスッと笑いながら言うと丁寧にご馳走さまでしたと手を合わせる由梨。
それに対して、お粗末様でしたと返した