第2章 楓編
「由梨、結婚する?私と」
由梨とはきっと上手くいきそうと本気で思った
洗い物をしながらそう言うと由梨は凝視していた。
そして全力で手を横に振りながら、え……いやいやいやいや〜。と言う
あんた結構失礼ね。と睨んだがいやいや〜とまだ言い続ける
「私まだ戸籍上は男だしなんの問題もないわよ?何?私じゃ不満なの?」
ふんっ。とつーんとした顔で言うと、いや。…遠慮させていただきます。と真面目に返されたので思わず吹き出した
由梨もつられたのかフフッと笑い出した
「由梨今日初めて笑ったわね。やっぱり笑った方が健康的よ?」
嬉しくて思わずニコニコしながら近寄り暖かい紅茶を渡した
そして隣に座り同じく暖かい紅茶を飲んだ
「暫くここにいなさいな。私は相変わらず忙しいけど由梨はほどほどにね?サポートだけでも受け入れなさい」
「楓さん。…ありがとうございます。楓さんといると元気パワー分けてもらえてるような気がします」
由梨がそんな事を言うので、ふふん!と当たり前よとドヤ顔をしてみせた
すると真剣な顔をする由梨
「私、…お腹の赤ちゃんの事。大切にします。」
決意を込めたようなそんな顔だったので、ただひたすらうんうんと頷いた
その日から暫く家にいることになった。
彼氏のいない時間を見計らって一緒に必要な物を1日で運びこんだ。
由梨は少し元気を取り戻したが、彼氏に会う勇気も連絡する勇気もないと言う。
そりゃそうよね。
DVされた事を聞いていたので会うことは絶対にやめなさいと言うと由梨も納得していた。
「電話も嫌なら、手紙にしたら?」
我ながら古風な考えだなとも思いながら由梨にそう提案すると由梨もそれに乗ってくれて私が荷物を運び込む間一生懸命何を書こうか悩み、最後にさらっと何かを書いて残していた