第16章 女の子の日
そして次に目が覚めると和さんはすでに居なくて
ゆっくりと体を起こすが少し鈍痛がした
あー。
これ結構今回は重いやつかも
毛布をリビングまで引っ張り出して、タンブラーにお湯を入れて薬と共にソファに座る
ふと目の前のテーブルを見るとお菓子がフルセットでケータリングの様に並んでいた
それをやってくれたのは紛れもなく和さんで
多分私が怠くてソファで一日を過ごす事を見越して家の中にあるつまめる物を総動員したんだと思って
思わず口元が緩くなる
ありがたくいくつかお菓子を摘んで薬を飲んでクラクラする頭を空っぽにしたくて目を瞑ったら次に開けた時には昼前になっていた
漏れ出しかけたナプキンを急いで変えに行ってる間にたいちゃんが一時帰宅していて
「秋岡Uberだよー」
何だか美味しそうなランチを持って待ち構えてた
「あれ?中休み?」
「うん。そう。ちょっとだけ時間あいたから。…それより。ほい。食えよ。どうせ朝飯くってないんだろ?」
なんで知ってるの?
なんて言わない
これも多分和さんからの手配なんだなってまたちょっと嬉しくなる
「ありがとう。作るのも億劫で。でもお腹空いてたの」
いただきます。と手を合わせて一緒に食事を取るがあんまり思う様には食べきれなくて
生理が重い時はいつもそんな感じ
身体が思う様に摂取してくれない
「まぁ半分は食ったんだから。とりあえず薬もう一回目閉じたら?」
頭を優しく撫でてくれるたいちゃんに、ありがとう。とクラクラする視界を閉じる
「なんか音楽でも聞く?」
ウォークマンを持って来てくれるたいちゃん
「クッションもついでに持って来た」
そう言って私とソファの隙間に上手く入れ込んでくれる
「フフッ。ありがとう」
たいちゃんの優しさがくすぐったくて笑ってしまう
「いーえ。和さんにお世話係任命されてきてるから」
やっぱり
思ってた事は大正解だったみたいで
毛布にうずくまる
「本当に、優しいんだから」
「由梨には特にな」