第10章 親友=心友
「ああーやばい。面白すぎる。まぁ、でも今日のミッション成功して良かったわー。」
目の端に浮かべた笑い泣きした涙をぬぐいながらそう言うたいさんに、へ?と返すと、二宮ミッションがあったですー。と言われた
「二宮くんにね。今日飲みに誘ってちゃんと友達になってきてって。」
「えっ。なんで?」
和さんの意図が全くわからなくて首を傾げてると、いやー。ほんとに俺は愛を感じた!とグイッとハイボールを飲み干してお代わりを頼んでいた
愛?一体何のことだろう。
「二宮くんがさ、由梨ちゃんにいつも寂しい思いさせてるからね。って。色々言いたいことも言えるでしょとも言ってた」
少し背筋がそわそわした。
それは全然嫌な感じではなくて。
寧ろ心地の良い何かで。
まるで今和さんにフワッと抱きしめられたような。
「なんか…今きゅんてした。」
胸を押さえてそう言うと、ご馳走さまです。と笑われた。
寂しいなんて何時も思ってるわけではない。
でもたまに何となく不安になったりする。
結婚って2人だけの満足では成り立たないことだから。
色んな人の協力があっての私達がいるって事実がどうしようもなくプレッシャーに感じてしまう時もあったりして。
でもそんな事、もっとたくさん頑張っていて、沢山感じ取っている和さんには言えなくて。
なんだか無性に和さんに会いたくなってしまった。
「会いたいなーって顔してるよ」
そう言ってハハッと笑うたいさんにも和さんみたいにあったかいものを感じた。
家に帰ると当然和さんは居なくてとても寂しい気持ちになった
そこそこ酔っ払っている私の手元は仕事中で出ないだろう和さんの番号が表示されている携帯を迷いなく押してしまう。
「んー?どした?」
思ったより早く電話口に出てくれた彼は背伸びをしていたのか間延びした力が抜け切った声で。
そんな声を聞いて思わず私も気持ちが緩み普段言わないような言葉を口走ってしまう
「どうしても。…今日は会えないですよね?」
押し黙る和さんの向こう側ではスタッフの何人かが打ち合わせ中なのか話し声が聞こえて直ぐに我に帰った。
そしてサーっと血の気が引く。