第1章 ヒロト編
由梨の隣に座り馴れ馴れしく肩を抱いている
それを見てさっきやっと落ち着いたのにまた込み上げてきた。
気持ちが悪いのを抑え込み由梨の方に駆け寄ると由梨は俺に気づき慌てて立ち上がり泣きそうな顔で俺に近づく
その時にふわっと由梨の香りと一緒に男の匂いがしてイラッとした。
絡んできた男は、なーんだ。来ちゃったか。とか言って早々に立ち去っていった。
「…はぁ。怖かった」
本当に怖かったのかちょっと震えている
それでも由梨に対してイラッとしたことは治らない。
なんではっきり断わんねーんだよ。とか近づかせてんじゃねーよ。とか。
とにかく今の由梨に激しくイラついていた。
「由梨。帰ろう」
俺がそう言うと、え?とかなり驚いた表情を見せた。
御構い無しに出口に向かうと後ろでちょこちょこ歩いて付いてくるのがなんとなくわかった。
自宅に戻ると両親は出払っていて誰もいなかった。
由梨にシャワー浴びてこいと言うと少しビクビクしながら風呂場に消えていった
多分俺が怒っているのがわかったのだろう。
それでも、ムカつく。
どうやったらこの感情が抑えられるのだろう。
考えても答えは見つからない
頭が痛くなりふぅ。とため息をつくと後ろから小さい声で俺を呼ぶ声がして振り向くと風呂場でシャワーを浴びているはずの由梨が立っていた。
「…んでだよ」
え?と意味がわからないという顔をする由梨
「なんで言うこと聞けないの?」
はっきりそう言うと小さく、ごめんなさい。と謝る
それでもムカついていて由梨の肩を掴みベッドに引き連れて行った
「ヒロト!…いったい。やめて!どうしたの?今日おかしいよ!」
必死に抵抗する由梨を押し倒し服を脱がせる
掴んだ肩が赤かった
それを見てゾクッと今までにない感情が湧き上がる
あぁ。
壊したい。
泣かせたい。
そんな感情