第1章 ヒロト編
俺はこういう類いのものは苦手だ。
出来たら由梨と静かに過ごしている方が好きだ
それにいくらダブルデートとはいえ由梨の近くに他の男がいるだけで虫唾が走る
由梨には言ってないけど昔まだ俺が高校生で、由梨と付き合いたての時に由梨の教室に迎えに行ったら告白されているのを見てしまった。
由梨は当然、ごめんなさい。と断っていたがその男は握手だけでもとか言って由梨を引き寄せ一瞬ハグしていた。
それを見た瞬間何かが込み上げてきてそのままトイレに駆け込み吐き出せるだけ吐いた。
その時に気づいた。
あぁ、由梨が他の男に触れられてるのを見るだけで駄目なんだ。
その後由梨は何もなかったかのように俺に接してきた。
そんなことにも気持ちが悪くてしょうがなかった。
それからは極力由梨が他の男に触れられないようにしてきたつもり。
由梨に好意を持っていそうな奴を片っ端から睨みつけそれでも馴れ馴れしい奴には目の前でキスして見せたり。
由梨はそんな事知らなくてただただ恥ずかしがっていたが
そんな事を物思いにふけっていたら本当に気持ちが悪くなってきた。
この気持ちはどうにも治らない。
「どうしたの?」
心配そうに俺を見る由梨。
「ヒロト。顔色悪い。…あとね、手がちょっと。」
そう言って顔をしかめる由梨。
思わずそんな由梨が可愛いと思ってしまったが強く握りすぎていたであろう手の力を少し弱めた。
「ごめん。…ちょっとトイレ言っていいか?」
俺がそう言うと由梨はうんうんと力強く頷いた。
多分冷や汗の出ている俺を見ているから本当に緊急事態だとわかってくれたのだろう
トイレに駆け込みはぁ。とため息を漏らす。
由梨の顔を見たらちょっと吐き気が治った。
何故だろう
昔は由梨が抱きしめられたのを見て吐いたのに。
今それを思い出して吐きそうになったのに
そして頃合いを見て由梨の待っている場所まで向かうと何故か福島も金沢もいなくてかわりに変なのに絡まれていた。