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2人の距離〜サブストーリー〜

第1章 ヒロト編




由梨と俺はずっとこういう関係じゃなかった。

最初の頃は本当に純粋に。
ただ愛おしくて。
キラキラ光る笑顔が大好きだった。

「じゃあ、また明日ね?」
毎日のように会っているのに寂しそうな顔をして家に入る姿を見送り家路につくのが当たり前になっていた。



由梨は高校まで一緒で2つ年下。
両親は早くに亡くなっていて親戚の家で暮らしている

この親戚もやっかいな奴らで由梨に早く出て行って貰いたいのか特別干渉もせず、会話も殆どないらしい
由梨は寂しがりやだから、そんな冷たい家に帰るのが本当に辛そうだ。

大学を卒業する1年後には由梨を連れ出して一緒に住もうってずっと考えている。




ある日由梨にダブルデートしないかと誘われた。
由梨の頼みだ。もちろん承諾し、由梨の同級生カップルと一緒にデートする事になった。


「お久しぶりです!北条先輩。」
ニコニコしてそう言うこの女は由梨の同級生の金沢あい(かなざわ)。
その隣で、どーも。と軽く頭を下げる仕草をするのは福島涼(ふくしまりょう)。
この2人とダブルデートをするらしい。

「今日はお手柔らかにお願いしますっす。」
手を前に合わせてヘラっと笑う福島にイラッとした。

多分俺が男に厳しい事を知ってそう言ってんだろうなと思った。
適当に、あぁ。と答え由梨の肩を抱く。
由梨は俺を見て、ん?と聞いてきたので何でもないと軽く笑うと笑い返してくれた。


目的地は遊園地でダブルデートによくありがちな場所
それでもいつもより幾らかご機嫌な由梨を見て来てよかったと思った。

金沢は彼氏である福島そっちのけで由梨を連れ回してあちこち連れまわす。
それに必死に食らいつこうと福島がつきまとう。
その半歩後ろで静観する俺。

それに気づいた由梨が俺の隣に来て手を握ってきた。

「ヒロト。ごめんね?…こういうの苦手だよね」
困り顔の由梨を抱きしめてしまいたくなるのを抑えて手を少し強く握った







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