第3章 輝編
ヒロトの家に着く頃、もう一度電話したが出なくて焦る
何でこんなに焦ってるかわからなかったけどとにかくヒロトと話つけなければと思った
インターホンを押すが出てくる気配はなくて何もできない自分が歯痒かった
暫く待ってよう。
そう思った時だった
バンッと大きな音がして玄関から由梨ちゃんが飛び出してきた
服は少し乱れていて顔には泣きじゃくった跡がある
それを見てプツンと何かがキレた様な気がした
由梨ちゃんに着ていたジャケットを羽織らせて家に入るとヒロトは上半身裸で座っていた
俺が入ってきたのがわかるとヒロトは少し驚いた後、はぁ。といつもの様に溜息をついていた。
出来るだけ冷静に声をかける
「ヒロト。…お前さ。なにやっちゃってんだよ」
俺の言葉にチラ見してまた溜息をつく
「…だからさ。会わせたくなかったんだよ。…お前だけには気づかれたくなかった」
ハハッと乾いた笑いをするヒロト。
それは自身も傷ついている様な痛そうな表情だった
その顔を見ていたら今すぐ殴りかかりたい気持ちが少し治り隣に腰掛け俺も溜息をつく
「お前さ、マジで馬鹿じゃねーの?あんなにしてさ。マジでムカつく」
知ってる。と言うヒロト
「…でもさ、止まんねーんだ。」
開き直るヒロトにまたイラッとした。
「ヒロト。…一発殴らせろよ」
そしてヒロトを立たせ思いっきり頬に一発殴った
人生で初めて本気で殴ったと思う
ヒロトは床に倒れこんでいたがそれをシカトして、じゃーな。と言い家を出て行くと玄関前に俺のジャケットが丁寧に畳んで置いてあり由梨ちゃんの姿は見えなかった。
それから俺は極力ヒロトに会おうとしなかった。
由梨ちゃんへの気持ちがまだあったが一度会いに行ったら、もう大丈夫です。と困ったような顔で言われたので俺の入る隙間はないと思った。