第3章 輝編
「あの…今日は?ヒロトは知ってますか?」
居心地が悪そうにそう言う由梨ちゃんに、いや。とだけ答えるとガタッと立ち上がった
「か、帰ります!」
恐ろしいものを見たような顔をして慌てる由梨ちゃん
俺も立ち上がり、まぁ。落ち着けよ。と咄嗟に両肩に手を置き座らせると痛そうな顔をする
「え、…あ、ごめん。」
謝ると、いや大丈夫です。とだけ言って下を向いている
そしてちょっと震えていた
俺肩に手を置いただけだよな?
そんな痛がるもんか?
チラッと由梨ちゃんを見ると首が薄っすら赤くなっていた
「なぁ。…由梨ちゃん。もしかしてそれっ、「見ないでください!」」
少し声を震わせながそう言う由梨ちゃんを無視して、ごめん。と謝り服をずらし肩を見ると噛み跡みたいなものがあった。
見た瞬間由梨ちゃんは、やめて。と顔を覆い震えだした
「なんで見たんですか。…」
悲しげに言う由梨ちゃんを見て今度は俺が怒りで震えた
「あいつ、だよな?それ」
なにも答えない由梨ちゃん
でもその姿はもう認めてるようなもので。
とりあえず俺も座り水をゴクッと飲んで落ち着いた
「…お願い。輝さん。ヒロトを嫌いにならないで下さい。私の事は放っておいて」
そう懇願する由梨ちゃん。
バカだな。
放っておけるわけないのに
そこに由梨ちゃんの電話が鳴った
出るのを躊躇う由梨ちゃん
「ヒロトか?…でな?」
優しく言うと頷いて素直に電話に出る
そして二言三言はなし電話を切ると立ち上がり、帰ります。と言い部屋を後にした。
このまま。
帰らしたらまたあいつは由梨ちゃんを傷つけるかもしれない。
いいのかよ
そんなの絶対ダメだ。と思い由梨ちゃんを追いかけるも既にタクシーに乗ったのか姿は見えなかった
慌ててヒロトに電話をかけると凄く嫌そうな声で電話に出るヒロト
「なんだよ。輝」
「んな声出すなって。今日飯行こうよ。」
なんとか2人きりにしたくなくて言うがあっさり断られた。
急いでタクシーを拾い行き先を告げる
なんだか胸騒ぎがしてたまらない