第6章 06
その日をどうやって過ごしたのかよく覚えていない。
気が付いたら家で、気が付いたら夜だった。
こうしていてもどうしようもないので、風呂に入って気持ちを落ち着けようと脱衣所に向かう。
設置してある鏡に映った自分は酷い顔だった。
モデルが聞いて呆れると、何度目か分からない溜息を漏らした。
苗字さんは自分の中で大きな存在となっていたらしい。
こんなに打ちのめされるとは思わなかった。
お湯を張った浴槽に浸かっても、気分転換になる事はなかった。
なんとなく汗をかいた風呂場の壁に人差し指で好きと書いた文字は、お湯に流れて消えていった。
「何かありました?」
学校に言っても上手く話せずに、苗字さんとぎくしゃくしたまま夏休みに入った。
夏の合宿所がたまたま誠凛高校と同じで、就寝前の空き時間に黒子が訪ねてきた。