第10章 番外
真剣な眼差しから目が離せなかった。
差し出された手を、信じられない気持ちでそっと握った。
嬉しくて涙が出そうだった。
嘘じゃないと、これは現実だと思わせてくれたのはやはり涼太くんで、握った私の手をぎゅっと包んでくれた。
ありがとうと言って顔を赤く染めながら笑う涼太くんは、車窓から差し込む光に包まれてとても綺麗だった。
住まいは遠く離れるけど、距離の分まで幸せになろうと言ってくれた過去の涼太くんと今の彼の台詞がリンクする。
好きだなって、また思った。
「私もう充分幸せだよ?」
好きが溢れて笑みを零すと、俺もって笑う涼太くんは、でもと言葉を続けた。
両手で私の手を包んでくれる涼太くんの笑顔はとても優しい。
まるであの時みたい。
「まだまだ、もっとっスよ」
これ以上の幸せなんてあるのだろうか。
きっと私は世界一幸せな花嫁だ。
さぁ、行こう。
二人で幸せの扉を開くの。
涼太くんがいれば私は最高に幸せ。
病める時も、健やかなる時も、生涯貴方だけを愛し、愛し抜く事を誓います。
【終】