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【黒子のバスケ】Select me

第4章 04



当たり前のように隣の席にいた苗字さんとはクラスが別れてしまって、何度隣を見ても俺が望む人はそこにいない。
クラスが違うだけで話す機会はめっきり減った。
寂しさと物足りなさを感じたが、友達を保つにはいい距離かもしれないと思い直した。
たまに顔を合わせると会えなかった時間を取り戻すようにじゃれ合う。
周りから仲良いねと言われて柄にもなく浮かれた。
余計に会えない時間をもどかしく感たが、ぐっと耐えた。

そんな時はバスケに打ち込んで集中する事で精神を落ち着かせた。
バスケに夢中になっている間は何も考えずに頭の中を空っぽに出来て、大好きなバスケが尚好きになった。

一年をそうして過ごし三年生になった春。
隣を盗み見ると友人に囲まれて楽しそうに笑う苗字さんの姿。
奇跡かと思った。
いくつものクラスがある中で、高校最後の一年を同じクラスで過ごせるなんてまさに奇跡だ。
二年前と変わらず俺の隣に座る苗字さんの姿にどうしようもなくにやけてしまって、俺は俺でクラスメイトに囲まれて話に花を咲かせていたので、その話題に食らい付いて大袈裟に笑い飛ばす事で凌いだ。

「また同じクラスだね!」

帰り支度をしている時に隣の席から話しかけられて一時停止した。
顔を上げると声の主はやはり苗字さんで、一年の頃と変わらない朗らかな笑顔が俺に向けられていた。



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