第4章 04
年が明けて冬休みが終わり一年最後の過程、三学期。
自分の気持ちに気付いてから苗字さんに会うのは初めてで、おはようと言うだけでとても緊張した。
今までどうやって接していたのか分からなくなった。
まごつきながらも緊張を吐き出すようにおはようと言うとおはようと元気に返してくれる苗字さんが、不思議な事にいつもより可愛く見えて一人どきどきした。
これからは周りの男を蹴散らす為の予防なんかじゃない、俺が傍にいたいと思うから気持ちに正直に苗字さんに話しかけた。
告白はしなかった。
しなかったというより、出来なかった。
苗字さんに告白した男子の話をちょいちょい聞いてはいたが、OKが出た例を聞いた事がない。
俺としては喜ばしい話だが、自分にも当て嵌まらない話ではない。
俺も例外ではないと気付いた時には足が竦んで動かなかった。
俺の周囲の問題もあった。
これまで特定の女の子と深く関わる事を嫌っていた理由がある。
面倒はご免だと思うのは変わらないし、こんな汚い世界に苗字さんを巻き込みたくなかった。
だったらこのままその他大勢の友人の一人として親睦を深めた方が、より確実に仲良く付き合っていけるのではないかと結論づけた。
友達のまま時は過ぎ、俺たちは二年生になった。