第3章 03
ただ大切な友人が取られてしまいそうで特定の相手を作ってほしくないと思ったし嫉妬もした。
特別な感情なんてない。絶対に。
「君はモテるくせに鈍いですね」
呆れたように溜息を吐いて言う黒子にむっとした。
その辺の男よりかは恋愛事情に精通していると思っている。
きっと自惚れではない。
体験が証明している。
「嫉妬に気付いた時点で気持ちにも気付いていいはずですよ」
他の男と話している姿を見たくない。
それはつまり自分を見てほしいという独占欲からくるもので、独占欲に掻き立てられるという事はそういう事なのだと淡々と話す黒子を呆然と見た。
もっと言えば、自分のものにしたいという独占欲が原因で苗字さんに寄り集まる周囲の男を警戒していたのではないかと続けられた言葉に頭の中が真っ白になった。
「苗字さんが、好き…」
混乱した頭で黒子に言われた台詞を声に出して繰り返した。