第3章 03
傍にいたいと思うのは好きだから。
声が聞きたいと思うのも好きだから。
好きだから嫉妬もするし、偶然同じストラップを持っていたなんて些細な事に喜びを感じる。
そうか、これが好きという感情か。
好き、ともう一度呟くと、熱がこもっていく感覚に両手で顔を覆う事で耐えた。
やっと分かった。
やっと理解した。
好きだったんだ、君が。
味わった事のない胸の高鳴りに、嘘だろと深く息を吐いた。
気付けてよかったですねと言う黒子の顔を指の隙間から見ると、優しい笑顔を浮かべていてまた息を吐く。
初恋だった。
しばらくして顔から熱は引いたものの、耳は赤く染まったままだった。