第3章 03
どうして人は何でも色恋に繋げたがるのか。
男女間に友情なんてないとでも言いたいのだろうか。
男女だって良い友人関係を築けると知っている人は少ないのかもしれないが、俺と桃井がいい例だろう。
男女の間にも友情はある。
なにも恋情だけではない。
それなのに感情の起伏が少ない黒子が驚いているとはっきり分かる。
「もしかして黄瀬君、気付いてないんですか?」
「?何にっスか?」
苗字さんを知らない黒子に分かって、俺には分からない事があるのだろうかと首を傾げた。
一体黒子は何に驚いているのか分からない。
何に気付けていないのかも分からない。
不安要素を取り除く方法も分からない。
分からない事だらけだった。
浮かんでくるのはクエスチョンマークばかりでちっとも前に進めない。
前に進む方法を黒子が知っているというのなら教えてほしかった。
「いいですか、僕が今からする質問にはいかいいえで答えてください」
「はぁ…」
答えを教えてくれると思っていただけに、唐突に始まった質問ラッシュに間抜けな声が出た。
まぁこれも分からない事だらけの現状から抜け出す為に必要な事のようだし、言う通りにしようと大人しく質問を受けた。